2022年1月27日編集
(※この手法によって損失を被ったとしても責任は負えません。自己責任でお願いします。)
スクリーニングを使って買いたい銘柄を絞り込んだら、その銘柄をなるべく安く買うためにテクニカル分析(チャート分析)を使って購入タイミングを計ります。
テクニカル分析とはチャートの形状から将来の動きを予測する手法です。チャートとは株価の値動きの推移をグラフ化したものです。
あらかじめ言っておきますが、長期保有が前提の場合、購入タイミングが多少ずれても長い目で見れば誤差範囲であることが多いです。そのため全力をかけて分析しなくても大丈夫です。それよりも投資手法①で紹介したファンダメンタルズ分析の方が大事です。
テクニカル分析はあくまで購入タイミングの目安として利用します。
前提条件
- 長期保有(数年~)
- 新興株(グロース銘柄)以外
自分の得意なテクニカル分析を見つける
テクニカル分析は定量的に分析できる割に、線のひき方や前提となる数値を少し変えるだけで結果が変わるので、結構あいまいなものです。
そのためこれが正解というものはなく、自分の中で決めたルールでテクニカル分析を何度も使い続けて経験を積んでいくことが大切だと考えています。
続けていくとなんとなくコツがつかめてくると思います。
テクニカル分析の種類や詳細については、証券会社のホームページなどに詳しい説明が無料で載っていますので、そちらをご覧ください。
参考:チャートの見方を覚えましょう!「テクニカル分析」(SBI証券)
テクニカル分析を使った購入タイミングの例
テクニカル分析はたくさんありますが、シンプルなテクニカル分析の例を紹介します。
移動平均線を大きく飛び越えたとき/近づいたとき
移動平均線は過去の株価終値の平均を線グラフにしたものです。
どの期間の平均をとるか任意で決めることができますが、私のメイン口座があるSBI証券では5日、25日、50日が初期値で用意されています。
この移動平均線を使った購入タイミングは2つあります。
1つが移動平均線を超えたときです。
もし好決算発表などで移動平均線を窓を開けて飛び越えたら、株価は上昇トレンドになる可能性が高いです。ただし飛び越えた後はいったん下がることも多く、後で紹介する窓が閉まるタイミングも検討すると良いです。
もう一つの購入タイミングは、上昇トレンドで、株価が移動平均線に近づいてきたときです。
株価は一般的に移動平均線から離れたり近づいたり波打ちながら推移します。そのため上昇トレンド (右上がり) で、株価が移動平均線に近づいてきたら購入を検討します。

上の図はウィルズの2ヶ月チャートですが、中央部で株価が移動平均線を飛び越えています。その後、25日移動平均線に近づいたらまた上昇しています。この2つのポイントが購入タイミングです。
右上がりの下値支持線に近づいたとき
チャートは波打ちながら推移します。波の一番低い部分をつなげると直線になる期間が出てきます。
これを「下値支持線」と言います。
移動平均線と同じように、下値支持線にタッチしながら株価が推移することが多いため、上昇トレンド(右上がり)で、下値支持線に近づいたときが買うタイミングになります。

ちなみにどこをつなげていくかは個人の裁量次第です。ロウソクの下端が良いのか下髭(ロウソクから出ている下向きの線)はあまり気にせず、私は適当に線を引いています。
三角保ち合いで下値支持線が右肩上がりかつ上値抵抗線を飛び越えたとき【おすすめ】
下値支持線とは逆に、チャートの波の一番高い部分をつなげてできる直線を「上値抵抗線」と言います。
下値支持線と上値抵抗線が三角形の2辺を形成することがあり、この状態を「三角保ち合い」と言います。
参考:SBI証券:パターン分析 コンティニュエーション・パターン ~トライアングル・フォーメーション(三角持ち合い)~
とくに下値支持線と上値抵抗線が徐々に近づいていく逆三角形の時は株価がエネルギーを貯めている状態です。
下値支持線が右肩上がり(=上昇トレンド)で、上値抵抗線が並行または右肩下がりの状態になっており、株価が上値抵抗線を飛び越えた時は一気に上昇する可能性が高いです。
言葉で説明すると分かりにくいかもしれませんが、図で見ると一目瞭然です。
上述したフジオフードグループ本社のチャートに上値抵抗線を付け加えてみます。
すると、きれいな逆三角形になっており、上値抵抗線を超えたらそのまま上昇していることが分かります。
逆三角保ち合いから上値抵抗線を超えた時は購入タイミングとなります。

窓が閉まったとき 【おすすめ】
ストップ高などでは前日の終値よりも大きく間をあけて株価が上がります。これを窓を開けると言います。
しかし窓が開きっぱなしになることは少なく、チャートは窓を開ける前の株価に近づいていく、つまり窓を閉めに行こうとします。おもしろいですね。私のこれまでの経験ではほとんどの窓が閉めらてきました。
数日で閉まる時もあれば、数か月かかって閉まることもあります。下げて窓が閉じられた後は上昇に転じることが多いです。
よって窓が閉まるあたりが買うタイミングです。

長期保有するならチャートも長期間でチェックする
本記事は長期保有が前提ですので、基本的に週足や月足を使うことが多くなります。
ただ売買タイミングを計る時等、短期的なチャートも見ておく必要があります。
見る期間によってチャートの形は全然違うからです。たとえば短期的に見ると上昇トレンドでも、長期的なチャートに切り替えると下降トレンドの最中であることがあります。
UUUMのチャートを例に見てみます。
3か月の日足チャートです。移動平均線を飛び越えているので、購入タイミングとみることができます。

3年チャートはどうでしょうか。まだ移動平均線を下回り、下降トレンドの最中です。
長期保有するには買うのはもう少し待つ方がよさそうです。

機関が空売りしていたら様子を見る方が良いかもしれない
空売りネット(karauri.net)で、機関投資家(通称:機関)の空売り情報を見ることができます。
機関とは、多くの証券を売買する法人で、銀行や証券会社、ファンドなどのことです。
機関投資家 (きかんとうしか)
機関投資家とは、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関など、大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家のことをいいます。
SMBC初めてでもわかりやすい用語集より
機関の空売りは大株主等から大量の株を借りて、市場で売って株価が下がったところを買い戻して儲けます。
彼らが空売りを仕掛けていれば、その株は下がる可能性があります。
というのも彼らはプロ集団ですから、根拠のない空売りをするのは考えにくいからです。
企業の業績や事業の状況を事細かに分析しているのはもちろん、何か私たちの知らない情報をつかんでいる可能性があるかもしれません。
ただし彼らも失敗することがあり、長期的に見て上がりそうだと思うのであれば買うのは全然OKです。もし順調に上がり続ければ、機関の買い戻しでさらなる株価の上昇が期待できます。
買う時は損切りも頭に入れておく
テクニカル分析を使って買った後に想定外で株価が下がることがあります。
たとえば、移動平均線を超えて買ったのに急落してまた移動平均線を下回ってしまった、なんていう時は少なくありません。
長期的なチャートで上昇トレンドならそれほど心配ありませんが、企業の業績が下降気味であったり、チャートが横ばいで今後の動きが良く分からない時等は様子見て損切りすることも必要です。
ここでは長期投資が対象なのでファンダメンタルズ分析が間違っていなければ大抵損切りすることはありませんが、念のため次のような損切りルールを設けておくと良いと思います。ちなみに値動きの激しい新興株(グロース市場)では必須です。
・数%下落したら機械的に損切りする
・チャート分析を利用して損切りする(直近安値を下回る、移動平均線を下抜けた等)
まとめ
- テクニカル分析で買うタイミングを計るが、長期の場合は厳密にしなくてもよい。ファンダメンタルズ分析の方が大切。
- テクニカル分析はあいまい。自分で決めたルールでテクニカル分析を使い続けること。
- 長期保有する時は、チャートも長期(週足・月足)で必ず確認する。
- 買う時は損切りも頭に入れておく。
以上、テクニカル分析を使った購入タイミングの紹介でした。